「知識地図」/知識地図とシナリオの具体例

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実例をご紹介します

業界シナリオ

2000年の初めにある業界団体で知識地図をもとに議論した実例を紹介する。知識地図のテーマはASP( Application Service Provider )である。1999年は、米国の西海岸でまだITバブルがはじける前であり、多くのハイテク・スタートアップ企業が活発に新しいビジネスモデルと技術をひっさげ活動している時代であった。これらの企業は総称してドットコム企業と呼ばれており、ITジャーナリズムをにぎわせていた。これらドットコム企業は、自社のITシステム(いわゆる社内システム)の構築にエネルギーを割くよりは手持ちの技術やビジネスモデルを先鋭化し、業界でスピーディに動くことに主眼をおいて活動していた。いわゆるコアコンピタンス経営といわれる考え方である。

このような考え方で経営を進めるドットコム企業を相手にして、既存の企業アプリパッケージ(ERP、CRM、SCMなど)をサーバー上に設置してインターネットを経由して業務アプリのサービスを提供するビジネスが出てきた。これがアプリケーションサービスであり、このサービスの提供者がアプリケーションサービスプロバイダー(ASP)である。このASPのビジネスモデルが日本国内のIT業界を騒がせることになる。早速ASPに関する業界団体が組織され、ASPというビジネスモデルの可能性が議論され、多くの会社がASPの試行サービスを始めることになる。NTTデータから派遣されてこのASPに関する業界団体(ASPIC)の理事をすることになった児西は早速ASPに関する知識地図を作成した(図1)。

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図1 ↑クリックして拡大

将来どのように展開していくのか混沌としていて、はっきりしないテーマを様々な角度から情報を集め、知識地図にすると多くのことが見えてくる。知識地図が得意にする適用形態である。業界団体における最初の全体ミーティングで児西は、図1の知識地図を解説するプレゼンテーションを行った。この先どのように展開するのかよく分からないと言っている人々の前で知識地図から何が読み取れるのかをプレゼンしていったわけである。この知識地図からは、多くのシナリオが読み取れる。また、この新しいビジネスモデルを武器にこの市場に参入しようとしているITプレイヤー達のポジショニングがクリアに見て取れるのである。まるで関ヶ原の合戦布陣図を眺めるような感覚である。このミーティングでは児西のプレゼンが進むにつれてセンセーションが拡がっていく。しかも、プレゼンテーションと同時進行的に出席者の意識をリアルタイムのアンケートを行った。このアンケート結果を再び知識地図にしたのが図2である。

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図2 ↑クリックして拡大

地図というのは、人々がコミュニケーションをするためのツールとして機能する。等高線と河の流れの両方をみればその川筋が急流であることが読み取れたりする。その地図を囲んでどの地点で河を渡るのがいいのかを人々は議論したりする。地図はコミュニケーションの共通の枠組みを提供し、また地図に記述されている以外の知識を持っている人が議論に参加すれば新しい答えが見つかることもある。三国志、赤壁の戦いでは「12月という冬の時期に東南の風が吹く日がある」という知識がキーになる。同じ地図を見ても地図を見る人の知識と地図に表現されている知識が相互作用を起こし、作戦が違ってくるのである。知識地図でもこれと同じである。図1の児西のプレゼンテーションと今後のASP展開に関する仮説としてのシナリオの提供。これに加えて業界団体に集まっている人々の知識(これは図2に示される)が相互作用をして新しい知識が得られることになる。その結果を時系列のシナリオにしたものが図3である。

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図3 ↑クリックして拡大

ナレッジプロデュースでは、図3に示すASPばかりではなく、システム開発業界(SI業界)のマクロな動きやテレコム業界の動きあるいは金融業界の動きなどを追加して手持ちの業界シナリオを増やしている。また技術動向例えば、Webサービス、オープンソース、携帯や固定網などのテレコム技術、情報家電など幅広い分野にまたがる技術シナリオを継続的に維持している。コンサルティングプロジェクトでは、これら手持ちの業界シナリオ、技術シナリオ群をお客様対応に情報を追加し、アップデートするなどして活用している。

社会シナリオ

ナレッジプロデュースでは、知識地図を作成してシナリオを開発するのが普通の手順である。しかし、文献調査をもとにシナリオをいきなり開発することもある。その例が図4である。図4は2004年の初めに次の10年を占う図として作成した社会とライフスタイルのシナリオである。

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図4 ↑クリックして拡大

顧客の個別シナリオの位置

ナレッジプロデュースのお客様は、上述の業界シナリオ、技術シナリオに加えて、図4のような社会シナリオをもリファレンス情報のフレームワークとして利用する。お客様とのワークアウトでは、これらお客様にとっての外部条件になるシナリオ群とお客様の戦略オプションの間の相互作用を分析しながら戦略を検討する。この様子を図5に示す。なお、この図にある中間遭遇モデルなどの意味は別途、エッセイの連載の中で解説していくことにして、ここではお客様にとっての環境シナリオとお客様自身のシナリオの相互作用を分析しながら戦略を構築していくことをご理解いただきたい。なお、個別のお客様の戦略シナリオをWebに掲載するわけにはいかないので、ここではその位置づけを説明するにとどめる。

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図5 ↑クリックして拡大




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Last-modified: Tue, 30 Oct 2007 11:24:31 JST (3916d)
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