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009 ダウンロード現象

児西清義 2007.2.3

ダウンロード症候群

ネットが太くなって簡単に大量の情報をダウンロードすることができるようになってきた。またハードディスクも大容量のものが安く手に入る。グーグルのような検索サービスが便利になって、どこにどのような情報があるのかもすぐにわかる。このため、面白そうな情報に出逢うとすぐにダウンロードして手元にストアする。最近のネットを楽しむ人々は無意識にこのような行動をしている。そしてダウンロードすると安心してしまう。いつかこの情報をみればいいと考える。しかし、実際にはその内容を読み、活用することはまれである。大量の情報を持ちながら、実際にはその情報を使うことを忘れているのである。 それでも自分でダウンロードした場合には記憶のどこかに残っているので思い出して内容を読むこともあるにはある。しかし、検索ロボットのような仕掛けを使っている場合には自分が収集したという実感がないので思い出して活用ということにはならない。デスクトップ検索に頼るようでは、出発点に逆戻りである。このようなダウンロード症候群ともいうべき状態から抜け出して情報を有効に活用する道筋を考える。

情報を分類整理する

情報を活用するにはやはり整理整頓するにかぎる。ということでダウンロードした情報をせっせと分類することを始める。これが情報を活用するための第一歩である。しかし情報をきれいに分類整理するとひと仕事終わったように感じてしまう。そこで落ち着いて安心してしまうことが多い。整理整頓が好きな人にはこの傾向がある。ここに留まるのであればダウンロード症候群から脱しているとはいえない。分類するだけではなく、有効に活用するために情報を処理する次のステップに進むことを考えることが大切だ。 情報を整理整頓するにはどのような考え方で情報を分類するのかということ、分類の考え方を明確に意識する必要がある。しかし、例えば図書館の分類表に従って情報を集めてもあまり情報の有効活用には繋がらないであろう。図書館の分類方法はあまりにも一般的なものなので、何か目の前の問題を解決しようとしても役に立つとはかぎらない。情報の分類の仕方はそのときどきの各自の問題意識を反映していなければ殆ど意味がないことになる。解こうとしている問題が違えば、おなじ情報のセットでも別の分類の仕方が必要になる訳である。 また情報収集を始める前に、もの凄いエネルギーを注いで分類体系を決めることも無意味である。なぜなら、集めることのできる情報の分布がはっきりしない段階で分類体系を構築しても、それを利用して情報の処理を効果的に進めることはできないからである。このため、ある程度集まった状態で自分流の分類体系を考える。そして適宜修正を加えていく。これが正解であると考えている。ひと昔前までは、新聞の切り抜きなど集めた情報が事務用のパイプファイル一冊分くらいにたまった段階で分類を考えなさいとアドバイスしていた。今の時代パソコンで情報を扱うので、作業は簡単である。ある目的のために収集する情報を蓄積するためにフォルダーを用意する。このフォルダーに蓄積されていく情報を見ながらある程度集めた段階で分類の仕方を考える。その結論に従ってフォルダーをサブフォルダー分割していく。この簡単な作業を行えばいい。しかもパソコンを使えば、分類の仕方は簡単に修正することができる。 この作業を行うことが苦にならなくなってくるとダウンロード症候群から脱却しつつあるといえる。なぜならばフォルダー構成を変更したり、もとに戻したりの作業を行うことの意味を考えれば分かる。すなわち、集めた情報の特性を抽出する。共通の特性のものは同じフォルダーに入れる。仕分けた情報(フォルダー)相互の関係を考える。全体と部分の関係を考える。全体の意味を考える、などの作業を行っているのである。この作業を行うことはすでに情報の分析作業の段階に入っていると言っていい。

情報コストゼロ時代のスキル

それでは情報をどのように分析するのか、その具体論に入る前にダウンロード現象の意味を少し考える。誰でもがインターネットとパソコンを手にすればダウンロードできる。情報収集コストゼロの時代になっている訳だ。ひと昔前までは技術調査のために頻繁に海外に出張したものだ。その出張先で入手した情報は国内に持ち帰れば価値があり、その報告書を出版して商売にもなった。ところが大抵の情報は誰でもインターネットを経由して入手できる。しかもかなり網羅的、体系的に集めることもできる。そうすると、単に知っていることの付加価値がなくなってくる。知っているだけでは商売にならない時代に突入してきているのだ。 このような時代にあっては、単に知っているのではなく、あるいは人の言っていることを単に信じるのでもなく、自分で、情報を集め、情報を分類し、情報を分析し、あるいは断片的な情報を総合して、新しい意味や価値を提示する力を養うことが大切だ。特に先の見えない時代、正解のない時代に入ってきているので、”新しい意味や価値を提示する”とは、未来のシナリオを考える、人々を説得できるだけの答えを出す力を養うことである。どのような道筋でこのような総合的な力を養っていくのかは大きな課題であるが、ここでは情報に関連するスキルと習慣を身につけることに焦点をあてて考える。



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Last-modified: Wed, 31 Oct 2007 06:37:41 JST (3915d)
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