エッセイ集/知識創造、場のマネジメント

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004 知識創造、場のマネジメント

児西清義 2005.10.26

新しい研究開発のテーマを定義することや事業戦略などを企画する作業は新しい知識を創造するプロセスそのものである。知識地図はチームの知的生産技術である。ナレッジプロデュースでは、知識地図を使って将来へのシナリオを考え顧客の戦略やアクションプログラムを定義するコンサルティングに特化している。このように戦略企画を目的にしてチームを構成し、ブレーンストーミングをする場合のコーディネーションがどのようなものであるのか説明する。まず、チームの構成についてはできるだけ個性的で異なる専門分野の人々を集めるのが理想である。集まった人々の個性がある一定の濃度を超えると化学反応を起こす。これは自然界における化学反応と同じである。集まった人々の個性が刺激し合ったりするのを横目で見ながら、議論を撹拌する。最初から議論が小さくまとまるよりは発散させる方がいい。ブレーンストーミングに目標を与える。議論を活発にする触媒のような情報をチームの議論に放り込む。このようにしてまず1ラウンドのブレーンストーミングを実施する。しかし一気に議論が面白く展開して結論に向かうとは限らない。

コーディネータの役割は、ブレーンストーミングがあまり面白く展開しないときにその理由を意識して対応策をうつことである。往々にして情報不足のままブレーンストーミングを始めると途中で議論が尻すぼみになることがある。このような時には議論を止めてチームのメンバに不足する情報を収集するなど宿題を与えていったん打ち切ることが必要になる。コーディネータのもう一つの役割は、頃合いを見計らって進展している議論の“仮止め”をすることである。このとき、効果的なのは議論の途中経過を地図にして示すことである。いわば、知識地図による議事録を作成する。これは第2ラウンドのブレーンストーミングでの初期値を与えることになり、同じ議論を無駄に繰り返すことを防ぐ効果がある。また、チームの各メンバが主張していた意見が全体の中でどのような位置づけになるのかを示すことにもなる。

コーディネータが料理人あるいはシェフであるとする。この議事録としての知識地図に料理の言葉でいう“隠し味”をひそませることも時には行う。第1ラウンドの議論は白熱したが、もう少し別の視点からの議論を促したい場合には議事録としての知識地図の中にいくつかのヒントを入れる。また、議論の中に“ゆらぎ”を演出することも行う。このようにコーディネートしていくと知識地図は議論を重ねるにつれて進化を始める。知識地図がチェインリアクションのように進化を始めることが成功への第1ステップである。

知識地図がある程度のまとまりを持ってくると、仮説やシナリオを考えるフェーズに入る。このステップでは対象領域に関する経験や知識が必要となる。それに加えていくつかのシナリオ作成のポイントや手順があるがこれはここでは省略する。ともかく知識地図を見ながら地図上のポイント対応に部分シナリオを作成する。この部分シナリオを集めて全体のシナリオを紡いでいく。この時の注意事項は一本道のシナリオにしないことである。どこに分岐点があるのか、いくつの道に分かれるのかなどに留意する。このようにして考えられるシナリオは平均的なシナリオの組み合わせになることも多い。ここからユニークな戦略につながるシナリオにするには2つのポイントがある。一つは隣接する領域のシナリオとの相互作用を意識してその相互作用の結果を分析することである。あるいは、顧客特有の条件を深く考察してユニークな道筋を考えることである。このポイントを筆者は起承転結の「転」を演出するという表現をしている。なお、シナリオの相互作用や起承転結の「転」については別途説明することとして、本稿で解説したプロセスを図1に要約する。

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図1 ↑クリックして拡大


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Last-modified: Tue, 30 Oct 2007 11:24:32 JST (3983d)
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